〜前回の話〜
ぼくと彼と
お互いの恋人同士で
旅行に行った。
宿に着くまでは観光をしており
宿について
温泉、夕食、酒盛りと
楽しく過ごした。
部屋に帰って寝ようとしたが
温泉で彼の裸を見て
それが忘れられなくて
目が覚める。
ぼくは彼に連絡して
散歩に行って
二人で欲情してしまい…
そして部屋に帰り布団に入ると
隣で寝ている彼は
鼻をすすっていた。
それが
「泣いている」とは
気付かなかった。
下のリンクから前回の話が読めます
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翌朝になりぼくたちは
それぞれのカップルで
朝風呂に行ってから
朝食会場で
4人合流してご飯を食べた。
その後は、
午前は観光をして
昼食を食べて
お土産を買って
特急に乗り
電車を乗り継ぎ、
それぞれのカップルが
家に帰った。
部屋に荷物を置き
『疲れたけど楽しかったー』
とぼくが恋人に言うと
『楽しかったね!
また旅行に行きたいね!』
と恋人が言う。
さらに
『昨日はお酒飲んで
寝た後にどこかに行ってた?』
と聞かれた。
内心、ドキリとした。
ぼくは考えた。
どう答えるのが良いかと。
①「ちょっと眠れなかったから
お風呂入りに行った」
②「喉が渇いたから
飲み物買いに行っていた」
③「どこも行ってないよー。寝てたよ」
③はダメだ。
もしもぼくが散歩に行っている間に
恋人がトイレで起きたなら
きっと嘘がバレる。
②もダメだ。
「ぼくは普段から外では
スーパーでしか飲み物を買わない。
安いから。
宿内の少し高い値段の自販機で
飲み物を買ったとなったら
不自然?かも」
よし①にしよう!
それなら嘘はついていないし
本当にあったことだから。
ぼくは
『ちょっと眠れなかったから
お風呂に行っていたよ』
と恋人に言った。
恋人は
『そうだったんだね!
トイレで起きた時に居なかったから
ビックリしちゃった」
とぼくに言った。
そして
『今日はちょっと早いけど
先にシャワー浴びてくるね』
と恋人がぼくに言って風呂場に行った。
その時の恋人の目はどこか
少し潤んでいるように見えた。
それからというもの
彼との関係は続き
ぼくたちは
会うたびに愛し合い
「このままずっと
この関係が続けばいいな」
と思った。
少し時間が経ち、
気付けば季節は春になり
桜が咲き始めていた。
彼とぼくが
裸で抱きしめ合い
その最中彼がぼくに言った。
彼『ゴールデンウィーク前に
2人で旅行に行こうよ!』
ぼく『行こう!絶対に約束だよ!』
ぼくは嬉しかった。
彼と一緒に旅行に行けることが、
2人で居れることが。
いつもは夜まで彼と遊び
家に帰るのだが
『たまには早めに帰ろう』と思い
今日は夕方に彼と
『また来週ね!』
と言ってお互いに家に帰った。
夕方に家に帰るのは久しぶりで、
といってもほぼ夜になり
夕日も暮れかかって
辺りは薄暗くなっていた。
恋人には
『18時30分には帰るよ』と
LINEで伝えてあった。
ぼくは家の玄関前に着き
鍵を開けドアを引き
家の中に入った。
電気をつけた方が良いぐらいの
薄暗い廊下。
人の気配はなく
でも玄関に彼の靴があった。
『ただいまー』
ぼくの声は
独り言のようだった。
誰にも返事されず
ただ声が宙に舞って消えた。
「ガチャリ」
ドアノブを下に押して
リビングに続くドアを開ける。
部屋は薄暗かったので
ぼくは電気をつけた。
すると、
恋人が正座をして
テーブルの前に座っていた。
うつむく恋人に
『ただい…』
と言って
『ま』をぼくが言う前に
恋人が顔を上げた。
瞳からは涙が溢れて
頬に流れていた。
ぼくは考えた。
「もしかして彼とのことが
バレたのか?」
「それとも彼に不幸なことが
あったのか?」
ぼくが恋人に
「どうしたの」
と聞こうとする前に
『この写真はなに!?』
恋人が震える声でぼくに言った。
ぼくは
恋人が机に置いているケータイを見た。
そこには
ぼくと彼がホテルに入って行く
写真が写っていた。
『いつからなの?どういうことなの?
ぼくなんか悪いことした?
分からないよ…』
そう言って
恋人は泣き崩れる。
恋人はぼくを抱きしめて泣いた。
そして
ぼくの手を握り
『ずっとずっと我慢してた…。
4人で旅行に行った夜に
彼と一緒に居たことも知ってた。
だけど、
いつかは正直に
ぼくに言ってくれると思って
何も言わなかったけど
でもぼくに何も言われなくて。
1人で苦しくなって。
なんで?なんでなの?』
そうぼくに
恋人は言った。
旅行の夜にぼくが彼と出かけたこと、
その後2人で欲情したことが
バレていた。
きっとあの夜に
彼は鼻水をすすっているわけじゃなく
泣いていたと、今になって気付いた。
ぼく『ごめん』
恋人『ごめんじゃないよ!
いつからなの?なんでなの?』
ぼく『彼と初めて遊んだ半年後から』
恋人『そんな前からだったんだね
それから会うたびにシてたの?』
ぼく『うん』
恋人『もう最低だよ。もういいよ。
出て行くよ』
ぼく『え、待ってよ、なんで』
恋人『なんではぼくの台詞だよ。
こんなことされて、
一緒に居るなんて頭がおかしくなるよ。
だから出て行くよ。
荷物は置いといて』
そう言うと
恋人は部屋から出ていった。
静かな部屋に響く
玄関が閉まる音と
部屋に1人のぼく。
ぼくは頭が真っ白になった。
つづく。
半分ノンフィクション物語
『略奪愛』
次回最終回です。
どうぞお待ちください!!
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