「略奪愛」6〜ぼくが彼を奪い、彼がぼくを奪った〜

〜前回の話〜

ぼくは彼と
ホテルでセックスをした



お互いにシャワーを浴びて
再びベッドで抱きしめ合う。


『気持ちよかったね!』
『すごい興奮した!』

などお互いに顔を見て言ってから
静かに抱きしめあって



『このまま彼との時間が
続けばいいな』

とぼくは思っていた。





『何時に駅に着く?』
恋人からのLINEを見て
ぼくは現実に引き戻された。





『友達(彼)とセックスをした』
という事実が
ぼくにのしかかり、


恋人に対しての
最悪感がぼくの心に
広がっていった。



血の気が引いて
頭が真っ白になり

揺れる電車は
彼が待つ最寄駅までぼくを運び
待ってはくれなかった…



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彼とセックスをした

登場人物

ぼく
・ぼくの恋人
  ↓
付き合って10年・同棲中


・彼の恋人
  ↓
付き合って12年・同棲中

揺れる電車の中で
ぼくの目には
過ぎゆく街明かりの
景色が映った。




少しぼうっとして
真っ白になっていた頭を
ぼくは横にブンブンと振り


恋人に怪しまれてはいけない。
 バレてはいけない

という防衛本能からか



『24:30には着くよ!』
と必死に言葉を搾り出し
恋人にLINEの返事を返す。





いつもは簡単な返信なのに
言葉を吟味し、慎重に選んだ。




そして電車は
最寄駅に到着した。

改札を出ると
ぼくの恋人が待っていた。




走ってきたにも関わらず
焦っていない表情と
背中にかいた汗、

ぼくに優しくて
ぼくを好きな恋人だ。





恋人『おかえり!
   今日も連絡がないから
   心配して来ちゃった』


ぼく『だから、おれは
   子供じゃないって』




長年のぼくたちの
いつものやりとりで

言葉が自然と出てきたからか
焦りや不安は表に出てなかった






ただ恋人から
『心配になるから
 これからは
 遅くなる時に連絡ちょうだいよ
?』

と言われた。





ぼくは
『うん、今度からは
 遅くなる時に連絡する

と言った。




「きっと恋人はぼくを怪しんでいない。
 ぼくを心配しているだけだ」


そう自分に言い聞かせて
いつもとは違う展開に
ぼくは少し焦るも



『きっとこれで大丈夫だ。
 いつものようにしていれば
 何もかも大丈夫。
 うん、これで大丈夫』


と自分に言い聞かせた。





そして
ぼくのポケットのケータイは
光り震えていた。

家に帰ったぼくたちは
いつものように
別々にシャワーを浴びてから
それぞれの寝室で
ベッドに横になった。




恋人とは
お互いの寝相の悪さや
歯軋り・イビキの兼ね合いで

同棲1年目から
別々の部屋で寝ていた。





ベッドで横になり
ケータイを見ると
彼からLINEが着てきた



『今日は楽しかったよ!
 また今度遊ぼうね』




その文章を見てぼくは

先ほどまでの出来事を
フラッシュバックのように
鮮明に思い出した




そして、
ぼくのモノが大きくなると同時に
恋人に対しての罪悪感が募る






でもぼくは思ってしまった。


彼に会いたい』と。



会って抱きしめて
キスをして
好きと言いたい。





久々に感じる
誰かに恋をする気持ちや

「彼に会いたい」と
思い焦がれる気持ちと


恋人に対する罪悪感、




複雑な感情が
ぼくの心の中をぐるぐると回って
苦しくなり眠れなかった。






ぼくは助けを求めるように
彼にLINEを送った。




『ぼくたち大丈夫だよね?

 会いたい、
 会って抱きしめたい』






数分して
ぼくのケータイが光った。



『ぼくたちなら
 きっと大丈夫だよ!

 ぼくも会って抱きしめたい。
 抱きしめて安心させてあげたい』


彼からのLINEを見て
安心したぼくは涙がでてきた。



「怖いけど、不安だけど
 彼と一緒なら大丈夫…」




そう思いながらぼくは
抜け出せない沼に少しずつ
沈んでいくことになった。


〜つづく〜

※この物語は半分フィクションです

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