「春風が吹いたら」
ぼくたちの短い同居生活は
あっという間に終わってしまった。
同棲初日、
彼の部屋に着いたら
硬くて中にはさらに硬いグミが入った
「バレンタイン」と名前の付いた
チョコをもらって食べるのに苦労したり
彼がちょっと丸くなったと思ったら
(お腹がまるーくなりました笑)
駅前通りのお菓子屋さんの袋が
部屋にいっぱいあって
お菓子を食べまくっていたことが分かったり
2人して遊ぶと言えば
新宿のタイトーステーションに行って
もっぱら、メダルゲームを夜遅くまでしたり
ケータイ事件があったり
120デシベル事件があったりと
(ちょー叫んだなぁ笑)
様々なことが
彼と過ごす時間の中で起こった。
どれもが新鮮で
どの出来事でも彼のことを知れたり
ぼくの好奇心を揺さぶる出来事となったのだ。
そしてぼくは
ぼくたちは
4月春風の吹く季節を迎えた。
「大学生になりました」
ぼくはついに大学生になり
新しい生活がスタートした。
初めての一人暮らしや
見知らぬ土地に心が踊った。
知らない人との出会い
知らないことを学ぶ日々
でも部屋に帰ると1人寂しくなった。
自慢ではないが
ホームシックには
一度もなったことはない。
寂しいのは彼が近くに居ないから。
友達と居ても
大学で授業を受けていてもどこかに
もの寂しさがつきまとっていた。
「中距離恋愛」
埼玉と東京。
それほど遠距離でも
近距離でもない距離だ。
徒歩と電車で
片道1時40分ほど
それがぼくたちの今の距離だ。
会いに行こうと思えば
いつでも会いに行ける距離。
だけど、翌日の朝イチに
授業が多い一年生のぼくにとっては
休日しか行けなかった。
なのでもっぱら土日の
彼もぼくも休みの日に
ぼくは彼の部屋に泊まりに行っていた。
それだけでも良かった。
だけどぼくは
あまりにも彼が足りなくて
寂しさが我慢できずに
ある行動に出てしまった。
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