君がぼくの初めて1 〜アイデンティティの形成11〜
https://ushinokoi.com/love-story-15-2/ 初めはただのクラスメイト。暑い夏を共に過ごし雪の降る冬の季節を一緒に越してそして2人で春を迎えた。これはぼくと彼の付き...
うっし
「深まる冬とぼくたちの仲」
2週間に1度は
彼との週末を過ごした。
土曜日にはオムライス屋さんに行って
ぼくたちは寄り添いあって
そして楽しみを噛み締めて
週末が終わり、また学校が始まる。
12月のこと
オムライス屋さんから出たぼくたちは
人通りの少ない道のベンチに座った。
(夜の8時ぐらいで辺りは真っ暗でした)
「うっしー、さむいよー」
そう言いながら彼は
ぼくの背中から手を回して抱きしめた。
「ほんまに寒いなぁー」
と言いながらぼくは
彼の手を握りさらに
「つめたっ!」と言いながら
彼の手を温めた。
雪が降る寒い日に
ぼくたちはお互いを温めた。
「冬はつづく」
百貨店の非常階段で。
人通りの少ないベンチで。
ぼくたちが
ぼくたちを温める冬は続いた。
そしてぼくたちは
運命の歩道橋にたどり着いた。
「ここなら誰にも見られんな」
とぼくが彼に言うと
「ここなら大丈夫やな」
と彼が言う。
ぼくたちは歩道橋に座り
肩を寄せ合い
彼のマフラーを2人で巻いて
沈黙を楽しみ
時間の経過を惜しんだ。
「卒業してしまう」
少しずつ季節は春に近づく。
2月の中旬から
卒業式の練習をして
少しずつ学校を離れる実感が湧いてくる。
中学の卒業式では
合唱しながらボロボロ泣いたけど
今回の高校の卒業式は
全く泣く気がしなかった。
なぜなら
隣に彼が居るから。
そしてぼくたちは卒業式を迎えた。
つづきます。
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