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外は寒く
道ゆく人たちが肩を狭めて
身を縮こませながら歩いていた。
そんな中ぼくは
東京のど真ん中を自転車漕いで
会社に向かっていた。
「今日は失敗しないようにしなきゃ」
そんな焦りと不安を
ぼくは抱えて会社に向かう。
☆☆☆
「お前な、ホンマバカか!」
ぼくが失敗するたびに
上司からの暴言が飛んできた。
「バカ」「アホ」「ボケ」
そんな暴言が飛び交う日常。
さらには上司からの
竹刀がぼくの肩を叩き
スリッパがぼくの頭を叩き
その度に気合いが入ると同時に
「もっと頑張らなきゃ」と
自分に言い聞かせた。
「これが社会人なんだ」
と言い聞かせて
おかしいとは思わなかった。
いや、思えなかった。
周りの誰にも言わないから
「おかしい」ことに気づけない
上司数名の支社のため
その状況を黙認され
何も変わらない
そんな状態が続いて
さらにエスカレートしていった。
☆☆☆
会社から一歩外に出ると
ぼくは自由の身。
楽しみといえば
ブログで知り合ったA君の
恋愛相談を聞くこと。
ぼくの居る現実とは
遠く離れた空の下の
恋愛話を聞いていると
自然と心が落ち着いて楽しかった。
気付けば毎日
LINEでメッセージを送りあったり
時には電話をしたりして
A君とは心の距離が近づいていた。
☆☆☆
ある日のこと。
会社で失敗したぼくは
「ケツだせや」
と上司に言われて
竹刀からパワーアップした木刀で
臀部を叩かれた。
決して暖かいとはいえない
少し冷えた空気の社内で
ぼくは
「はうっ」と声をあげた。
あまりにも痛くて
座り込み悶えた。
仕事を終えて社宅に帰り
お風呂に入ろうと思い
ズボンを脱いだ。
ぼくは
青くなっている自分の臀部を見て
涙が出てきた。
なぜか涙が止まらなくて
その理由が分からなかった。
ぼくは自分が
「傷ついて壊れている」ことに
その時には気付けなかった。
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