「三月十一日、旅立ちの日」
ぼくと彼はお互いに
背中合わせで眠り
夜を明かした。
ぼくはあまり眠れず
でも彼に『鍵を返して』と
伝えた時から決めていた。
『もう別れよう』と。
だからこそ
その場に居づらくて
あまり眠れずにいた。
そして夜が明けて
まだ薄暗いころ。
ぼくは彼の部屋に来た初日に
彼に部屋の鍵を
もらっていたのだが
机の上にそっと置いて
彼が眠ってるうちに
自分の荷物を持って玄関を出た。
そして、
ぼくたちがキスをして
始まった恋愛から
約3年にして
ぼくと彼の恋人関係は
別れの言葉もないまま
終わってしまった。
「実感が湧かない」
昨夜は
あまり眠れずいて
眠たいからなのか
電車に揺られることが
心地よいのか
電車で移動中は
ぼーっとして
フワフワとした気分になり
別れた実感が全く湧かなかった。
途中から新幹線に乗り換えて
品川を目指した。
窓から見える景色に
ワクワクもせず
何も感じない。
状況が理解できない。
自分から別れようと
決めたはずなのに。
「2011年3月11日」
品川について
在来線を乗り継いで
ぼくの部屋からの
最寄駅に着いた。
電車から降り改札を出て
本屋さんに寄ってから帰るため
ぼくは書店に入った。
すると突然
本がユラユラと揺れて
そしてグラグラと揺れて
パタパタと何冊も
束になって落ちて倒れていった。
ぼくはこの異常事態に体が反応して
すぐさま本屋の外に出た。
ケータイからは
警告アラーム。
周りの人たちも
ケータイからアラームが鳴り
皆、不安からその場に立ち止まった。
そう、
東日本大震災が
起こってしまったのだった。
ぼくは
夜からバイトがあることもあり
早歩きで自分の部屋に向かった。
「記事の終わり」
次回の記事で
「初めての付き合い」シリーズを
終わりたいと思います。
ここまで本当に
お読みいただき
ありがとうございました。
次回をお待ちください!
おまけ
彼に会いにいく前から
「よっしゃ!別れよう!」と
考えていた訳ではないんです。
記事にも書いているんですけど、
会いにいく時は楽しみだったのに
実際に会って一緒に過ごすうちに
「もう、なんか無理なんかな」と
思うようになって、
彼も同じことを感じ取っていた
みたいなんです。
でも実際にぼくの鍵を返してもらって
そんで、彼の鍵を置いて家を出たあとに
「あ、別れたんだよね」と
自分に言い聞かせて
実際には混乱していました。
「整理がつかない状態」ってやつで
電車の中で歌を聴いていても
なんにも歌詞が入ってこないし
なんも考えることができなかったんです。
付き合う前と付き合った直後が
なにか変わった実感がないように
別れる前と別れた後も
本当に実感がまるでないんです。
そして最寄駅について
地震が起こって
「別れた」どころじゃなくなって
なんかもう
バタバタですよね…
次回はエピローグです!
また次回の「おまけ」で
お会いしましょう( ´ ▽ ` )
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