「二月の終わり」
二月の終わり頃
彼から電話があった。
内容はこうだ。
「奈良の大学に受かったから4月から通う。
看護学校で、
じいちゃんから看護師は
将来的安定してるから良いと言われた。
だから通うことにした」とのこと。
留学はどこへいった?
留学して語学を勉強して
ホテルマンになるという夢は
どこにいってしまった?
突然のことにぼくは
話についていけないでいた。
そして
三月の前半に
奈良に引っ越すので
遊びに来てほしいとのこと。
もちろんぼくは行くことにした。
「三月九日、天気は晴れ」
前に会ったのが1月。
約2ヶ月ぶりに会うのだが、
やはり会うことは嬉しかった。
ぼくは事前にバイトの休みをとり
彼に会いに埼玉から奈良へ。
電車を乗り継いで行った。
ぼくは奈良県にある
初めて聞いた名前の駅に行き
改札口の前で彼と合流した。
彼の部屋に行く前に
昼ご飯を食べに行き
夜ご飯の買い物に行き
彼がこれから
どんなところに住むのか見て回った。
彼の部屋に着き
ぼくたちはお互いに
抱きしめてキスをしたものの
長距離の移動でぼくは疲れていたため
キス止まりとなった。
夜ご飯はぼくが作り
お世辞にも美味しいとは言えなかった。
二人でご飯を食べながらテレビをみて
一緒の布団に寝て
一緒に居るのに
あまり会話がなかった。
ぼくと彼はお互いに
違和感をどこかで感じていた。
「三月十日、天気は晴れ」
2日目も昼食を食べに行き
辺りをブラブラと散策したり
夕食の買い物をして
彼の部屋に帰った。
そして
お世辞にも美味しいと言えない
料理を食べながら音楽番組を見ていた。
ぼくたちの空気は
決して良いとは言えず
一言も発しない沈黙が長く続いた。
そして食後に
ぼくは彼に言った。
「ぼくの部屋の鍵を返して」と。
彼は財布から
ぼくの部屋の鍵を取り出して
ぼくに渡した。
そしてぼくたちは
1つの布団で反対を向いて寝た。
おまけ
よく聞いて泣いていた歌です
彼がアメリカに留学して
ぼくは、
会いたくても会えない距離を嘆いて
少しでも強くならなきゃと思って
耐えてきた。
「いつかきっと二人で一緒になれる」
そう信じていた。
好きで好きでたまらなかった。
外では
何もないように装って日常を送り
家に帰ると
何もないのに寂しくて
何度も何日も泣いていた。
その時の気持ちは
一体どこにいったのだろう。
ぼくを初めて受け入れてくれた彼は
一体どこにいったのだろう。
あの歩道橋でキスした日から
僕たちは何が変わったのかな。
おまけ2
ここまでお読みいただき
ありがとうございました!
今読んでいただいている
『初めての付き合い』は
次回が最終回となります!
どうぞ
最後までお読みください。
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